今回から数回にわたって、数式関係を扱ってみたいと思います。
数学では、変数を表すアルファベットはイタリックで表記します。また、工学ではよく、ベクトルや行列を太字で表します。ベクトルはアルファベットの小文字のボールド・イタリック体、行列は大文字のボールド・イタリック体という具合です。論文によっては、これらを(イタリックではなく)ボールドの立体で表すこともあります。 それでは、数式環境中でアルファベットをボールド・イタリック体 にする方法です。AMS-LaTeXパッケージを読み込む必要があります。 |
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この他に\mathbfを用いる方法もあります。この命令はAMS-LaTeXを読み込まなくても用いることができますが、残念なことに「ギリシャ文字の小文字(α,β,γ,・・・)」をボールド体にすることはできません。上述の\boldsymbolでしたら、文字の種類に関係なくボールド体にすることができます。
さて、文字をボールド・イタリックにする方法は分かったわけですが、テクストにベクトルや行列が出てくるたびに\boldsymbol{ }と入力するのは大変めんどうです。このような入力の手間を省くための機能に、マクロと呼ばれるものがあります。マクロの書式は次のようなものです。 |
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マクロを定義するには\defという命令を使うこともできます(書式は少し異なります)。ですが、私は普段は\newcommandを用いています。
新しいマクロの名前を決めるときに、TeXにもともと用意されたコマンドとうっかり同じ名前をつけてしまうことがあります。この場合、\def命令では新しい命令に上書きされてしまいますので、他の個所で予期しない出力やエラーが起きることがあります。 一方、\newcommand命令を用いた場合には、「同じ名前のコマンドが既にあります」というエラーを返してきます。ですから、古いコマンドを上書きするのを防ぐことができるわけです。 元からあるコマンドの内容をあえて変更したい場合には\renewcommandという命令が用意されています。使い方は\newcommnadと同じです。 それでは、文字をボールド・イタリック体にするマクロを定義してみましょう。マクロの名前は\biということにします。ついでに、数式環境でなくても使えるようにしておきます。 |
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マクロ機能を上手に使えば、入力の手間を減らすことができますし、ミスタッチによるエラーも防ぐことができます。
(2001.8.5) |