2次錐計画法を用いて、ケーブルネットの有限変形解析を行なう。
たとえば次の図のようなケーブルネットの釣合形状を求める。
![]() ケーブルネットの例 釣合形状は、トータルポテンシャルエネルギー最小化問題を解くことに よって得られる。 しかし、ケーブルは圧縮力を負担しないという材料非線形性を有するため、 この問題を解くことは必ずしも容易ではない。 ![]() ケーブル部材の構成則(圧縮剛性が0) そこで、本研究では、トータルポテンシャルエネルギー最小化問題と 同じ解を持つ2次錐計画問題を定式化し、これを解くことで釣合形状を得る。 2次錐とは、ベクトルのノルムに関する不等式で定義されるような凸領域である。 たとえば、3次元空間における2次錐は、次のような円錐の表面および 内部の領域のことである。 ![]() 3次元空間における2次錐 この手法では、ケーブル部材の伸びの量に関する仮定が、一切必要ではない。 次のように、構成則が直線と放物線の組合せで表されるような場合にも、 伸びの量の仮定や構成則の接線近似などは必要としない。 ![]() 初期剛性の低下を考慮した構成則 実際、本手法は、次の図のように、区分的に凸多項式で表されるような 構成則にまで適用できる。 ただし、伸びが正の領域では軸力は広義増加関数でなければならない。 ![]() 構成則の一般化 また、本手法は、初期解や解析の途中の解、あるいは釣合形状が 不安定であっても、問題なく解を得ることができる。 次のような初期解を考える。 ![]() 12×12ケーブルネットの初期解 この初期解は、破線で示した部材は伸びているが、その他の部材は すべてたるんでいるので、不安定である。 従って、既往の接線剛性に基づく手法では解を得ることはできない。 しかし、提案手法では、問題なく解を得ることができる。
(2001.8.10) |