コンプリメンタリエネルギー最小化原理は、微笑変形理論においては、釣合式を
付帯条件とし、力を変数とした形で得られる。
しかし、有限変形の仮定の下では、釣合式は変形後の形状に関して書かれなけれ
ばならないため、力に加えて変位(あるいは一般化変位としてのrotation)を変
数として含む。
本研究の動機は、有限変形理論において、力のみを未知数としたコンプリメンタ リエネルギー最小化原理を導くことはできるのか否か、という素朴な疑問に発す るものである。 そして、この問いに対する、本研究の回答は次のようなものである。 即ち、
![]() 3次元空間における2次錐 ここで考えているトータルポテンシャルエネルギー最小化問題(Π)は本来、非凸な問 題である。 本研究では、これと同じ解を持つ凸計画問題を定式化する(P)。 (P)の双対問題を導くことにより、力だけを未知数としたコンプリメンタリエ ネルギー最小化原理を得ることが出来る。 コンプリメンタリエネルギー最小化原理は、応力法の基礎となるエネルギー原理 である。 次に、これらの問題の相関図を示す。 ![]() エネルギー原理の相関図 さて、ここで得られたコンプリメンタリエネルギー関数は、仮想補仕事の原理か らも導くことができる。 ![]() ![]() 仮想補仕事と仮想仕事 このような考察から、得られた関数は真のコンプリメンタリエネルギー関数であ ることが分かる。
(2001.8.10) |